神武天皇とヤマト建国神話|安彦良和(やすひこ・よしかず)『神武』の歴史観に迫る

日本の神話には、数多くの神々が登場しますが、その中でも特に重要な存在が「神武天皇(じんむてんのう)」です。彼は、日本の初代天皇として知られ、奈良の橿原宮(かしはらのみや)で即位したと伝えられています。

漫画家・安彦良和(やすひこ・よしかず)は、この神武天皇を主人公に据えた作品『神武』を描きました。本記事では、神武天皇の神話における位置づけ、安彦良和の独自解釈、漫画『神武』の魅力、そして奈良の神武ゆかりの地について詳しく解説します。

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1. 神武天皇とは?日本神話における初代天皇の位置づけ

神武天皇は、日本神話において初代天皇とされる人物で、天照大神(アマテラスオオミカミ)の血を引くとされています。彼は、日向(現在の宮崎県)から東征を行い、奈良の橿原宮で即位したと伝えられています。

この東征は、神話における重要なエピソードであり、日本の建国神話の中心的な物語となっています。

2. 安彦良和『神武』が描く建国神話の再解釈

安彦良和の漫画『神武』は、前作『ナムジ』の続編として描かれ、神武天皇の東征を中心に物語が展開されます。この作品では、神武天皇の東征を単なる征服ではなく、和平のための旅として描いています。

また、八咫烏のモデルとされるツノミ(賀茂建角身命)を主人公とし、神武天皇に仕える姿が描かれています。安彦良和は、古事記や日本書紀の神話を再解釈し、現代の視点から物語を再構築しています。

参考記事「ナムジとは何者か?安彦良和が描く出雲神話の主人公」

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3. 奈良と神武天皇|橿原神宮と古代ヤマトの舞台

奈良県橿原市に鎮座する橿原神宮は、日本神話における最初の天皇・神武天皇を祀る国家的な聖地として知られています。創建は明治23年(1890年)と比較的新しいものの、その由来ははるか神代にまでさかのぼり、神武天皇が即位したとされる「橿原宮」の伝承地に建立されています。神話と歴史が交差するこの地は、日本という国の“始まり”を象徴する場所として、長らく篤い信仰を集めてきました。

▶︎橿原神宮(橿原神宮)

住所:奈良県橿原市久米町934

さらに奈良県内には、神武天皇にまつわる数多くの古代遺跡や神社が点在しており、たとえば神武天皇陵(畝傍山東北陵)や高市郡周辺の史跡などを巡ることで、古代ヤマト政権の誕生と展開を実感できるフィールドミュージアムともいえるエリアが広がっています。これらの地を訪れることは、単なる観光以上に、日本国家の源流にふれる精神的な体験ともなり得るでしょう。

4. 漫画『神武』のストーリーと思想的背景

安彦良和による漫画『神武』は、前作『ナムジ』の延長線上に位置づけられる歴史ロマンの集大成的作品であり、全4巻にわたって神武天皇の「東征神話」を新たな解釈で描き出しています。

また、『神武』には『ナムジ』で登場したキャラクターたちが再び現れ、世代を超えた思想の継承と葛藤が描かれます。ここでは単に神々が交差する神話の世界ではなく、実在性と人間性を帯びた“古代の人々”の営みが、現代の倫理観や価値観と共鳴するように再構成されています。

安彦は『神武』を通じて、日本神話を無批判に礼賛するのではなく、むしろその内側にある歴史の暴力性・正統性の構築・支配の正当化といった問題にも目を向けています。そうした思想的挑戦は、古代史をテーマにした作品でありながら、極めて現代的な問いかけを内包している点で、深い読み応えを感じさせます。

5. 古代史ファンにおすすめ!神武関連の書籍・資料紹介

神武天皇に関する書籍や資料は多数存在します。以下にいくつかのおすすめを紹介します。

神武天皇伝承の古代史(志学社選書)

古代史研究家による、神武天皇伝承の成立過程を実証的に解説した一冊。文献と考古学の両面から「空白の4世紀」を鋭く読み解きます。学術的ながら読みやすく、深く知りたい人にぴったりです。

神武天皇 (神尾古代史シリーズ6)

“実在論”系の古代史著作として評価が高い、神尾正武氏のシリーズ第6巻。神武天皇の実在を検証し、記紀と考古学・伝承を丁寧に比較。知的好奇心をくすぐる読み応えがあります。

神武天皇の歴史学(講談社選書メチエ)

歴史学の視点から神武天皇を再評価した専門書。文献批判、史料解釈を丁寧に進め、神武物語が国家イデオロギーとして形づくられた背景を読み解きます。読みやすさと内容の厚さを両立。

『安彦良和 神話シリーズ』(中公文庫コミック)

『ナムジ』『神武』ともに中公文庫コミックで手に入りやすく、安彦作品ならではの歴史観とキャラの魅力を味わえます。神話の世界観をフィクションで楽しみたい人におすすめ。

神武(全4巻)
ナムジ(全4巻)

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まとめ

神武天皇の物語は、日本の「はじまり」を描いた壮大な神話でありながら、現代に生きる私たちにも通じるテーマを多く含んでいます。安彦良和の漫画『神武』は、そうした古代の物語に命を吹き込み、「戦い」と「和平」、「神話」と「現実」のはざまにある人間ドラマとして描き出しています。

ただの歴史ロマンにとどまらず、今の時代を生きる私たちにとって「国をつくるとは?」「リーダーとは?」といった問いを静かに投げかけてくれる作品です。

神話や古代史に少しでも興味があるなら、まずは『神武』を手に取ってみるのがおすすめです。そこから広がるヤマト建国の世界は、想像以上に奥深く、魅力的ですよ!

引用元

・神武天皇(日本初代天皇) – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%AD%A6%E5%A4%A9%E7%9A%87?utm

・安彦良和『神武』(漫画) – Wikipedia: https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A5%9E%E6%AD%A6_%28%E6%BC%AB%E7%94%BB%29?utm

・橿原神宮の歴史・神武東征について(橿原観光情報): https://kashihara-kanko.or.jp/about/kashiharajingu.php?utm

・安彦良和『神武』中公文庫版(作品説明やあらすじ): https://bookwalker.jp/series/485818/?srsltid=AfmBOoqOQtc-_UbpceNNkEJYfql69Iq1nXAmz

 

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