マガジン編集者「バックさん」こと川窪慎太郎(かわくぼしんたろう)さんとは? 有能と言われる理由や『進撃の巨人』諫山創先生との関係を解説
講談社に勤める漫画編集者の1人、川窪慎太郎(かわくぼ しんたろう)さん。
川窪さんは世界的人気を誇る漫画『進撃の巨人』を連載当初から担当しており、Twitterアカウント「漫画編集者バック」の中の人としても有名ですよね!
人気作を裏から支え、読者からも「有能」と評される川窪慎太郎さんとは、どのような人物なのでしょうか?
この記事では、川窪慎太郎さんのプロフィールや絶賛される仕事術、『進撃の巨人』の作者・諫山 創(いさやま はじめ)先生との関係などを紹介します。
川窪慎太郎(かわくぼしんたろう)さんとは?
まずはプロフィールと経歴から、川窪慎太郎さんの基本情報をチェックしていきましょう!
川窪慎太郎さんのプロフィール
- 生年月日: 1982年9月5日
- 出身地: 神奈川県
- 最終学歴: 東京大学経済学部卒
- 趣味: サッカー観戦
- Twitterアカウント: @ShingekiKyojin
2022年11月現在、『別冊少年マガジン』の3代目班長として活躍されている川窪慎太郎さん。
川窪さんは面白い作品を見抜く能力とSNSを使ったプロモーション力に定評があり、担当作品の多くを大ヒットに導いている陰の立役者です。
「漫画編集者バック」という名前でTwitterをやっており、読者から「バックさん」と呼ばれて親しまれています。
川窪慎太郎さんの経歴
川窪慎太郎さんは東京大学経済学部を卒業後、2006年に講談社に入社します。
講談社に入社を決めた理由は
「スーツを着なくていい」
「出勤時間が遅く満員電車に乗らなくていい」
「転勤がない」
という希望の条件が揃っていたからだそうです。
ご本人曰く「あまり働きたくない」そうで、川窪さんの人柄が垣間見えますね!
なお、同じ大学の仲間たちは大手企業や有名銀行などに就職する人が大半だったため、出版社に就職を決めた川窪慎太郎さんは周囲から珍しがられたといいます。
しかし学生時代から漫画や小説を読むのが好きだったこともあり、入社後はめきめきと才能を発揮。
入社1年目で当時まだデビューしていなかった諫山 創(いさやま はじめ)先生の才能を見抜き、担当になりました。
2022年11月現在は別冊少年マガジンで『ふらいんぐうぃっち』 、週刊少年マガジンで『戦隊大失格』『ガチアクタ』を担当されています。
川窪慎太郎さんが担当した代表作品
ここでは、川窪慎太郎さんが担当してヒットした作品を簡単に紹介します!
『進撃の巨人』
諫山 創先生によって2009年から2021年まで連載された漫画『進撃の巨人』。
『進撃の巨人』は、圧倒的な力を持つ「巨人」と、巨人の力に対抗しようと立ち向かう「人間」の戦いを描いたダーク・ファンタジー作品です。
単なるバトル作品ではなく、各キャラクターの思惑が複雑に交錯し壮大な世界観が楽しめる本作は、日本のみならず世界各国でも高く評価されました。
川窪慎太郎さんは本作連載前から諫山先生を担当しており、連載にこぎつけるために2人で試行錯誤した時期もあったといいます。
『五等分の花嫁』
春場ねぎ(はるばねぎ)先生によって、2017年から2020年まで連載された作品・『五等分の花嫁』。
『五等分の花嫁』は、とある事情で五つ子の女子高生の家庭教師を務めることになった男子高校生のラブコメ作品です。「主人公は誰と結ばれるのか?」というドキドキ感が高い人気を呼び、アニメ化や映画化もされました。
本作連載終了後、春場先生は新連載『戦隊大失格』を手掛けていますが、こちらも川窪さんが担当されています。
『ふらいんぐうぃっち』
石塚千尋(いしづかちひろ)先生によって、2012年から2022年11月現在まで連載中の『ふらいんぐうぃっち』。
『ふらいんぐうぃっち』は、見習い魔女の日常を描いたほのぼのファンタジー作品です。
本作連載開始直後、石塚先生は自信のなさから筆が進まず、川窪慎太郎さんに「連載をやめたい」と申し出たことがありました。すると川窪さんは、急遽東京から石塚先生が住む青森県に駆けつけ、連載を続けるよう必死に説得したそうです。
この説得のおかげで本作はその後も連載し、今では連載歴10年にも及ぶ長期人気作となっています。
川窪慎太郎さんが有能と言われる理由
担当漫画家たちから厚い信頼を寄せられ、読者からも有能と評価されている川窪慎太郎さん。
ここでは川窪さんの人柄や仕事術から、有能と言われる理由を探ります。
ユニークな施策で作品を盛り上げる能力
川窪慎太郎さんが有能といわれる理由の1つに「作品を盛り上げる能力が高いこと」が挙げられます。
SNSを使ったプロモーション・驚くようなコラボタイアップ・読者参加型の企画など、担当作品に対して次々とユニークな施策を講じることでも有名な川窪さん。
「借りられるなら人の手は借りたほうがいい」という考えを持っており、「作品を愛してくれている読者を巻き込んで一緒に作品を盛り上げたい」と思っているそうです。
ただし、作品を「大衆化しすぎない」ことも重要と考えており、ただ消費されて終わりの作品にならないように「特別感のある売り出し方」を意識しているといいます。そのため、たとえ人気商品からコラボのオファーが来ても、作品を生かした企画でなければ断ることもあるそうです。
「読者に親しみを持ってもらいつつ、引くところは引く」というバランスのいい売り出し方ができるのは、川窪慎太郎さんの才能ですね!
作家との距離感が絶妙
川窪慎太郎さんは担当漫画家との距離の取り方が絶妙で「作家のプライベートに踏み込みすぎない」という独自のルールを設けていることでもよく知られています。
11年以上担当した諌山先生とも、なんと2人きりで食事をした回数は3回くらいという徹底ぶり!
川窪慎太郎さんが担当漫画家と一定の距離感を保つのは「ずっと面倒を見られるわけじゃない」という思いがあり「自分は漫画家にとって、いつかいなくなる存在」だと自覚しているからだそうです。
漫画編集者はあくまで出版社に勤めるサラリーマンなので、会社から命じられればすぐに担当を外れますし、人気が出ない作品の連載を打ち切ることもあります。
だからこそ川窪さんは、担当漫画家と「心の友」のような関係になるのではなく「ビジネスパートナー」として関係を築くことを意識しているのだとか。
多くの漫画家から信頼を集めるのは、この「誠実な人柄が魅力的だから」ではないでしょうか。
作家の「描きたいもの」を追求
川窪慎太郎さんが漫画編集者として大切にしているのは「作家が何を描きたいと思っているのか?」ということ。
「漫画はあくまで『伝えたいこと』を伝える手段の1つであり、単に絵や構成がうまいだけでは良い漫画とは言えない」というのが、川窪慎太郎さんの考えです。
担当作品を読むときは「作家が何を伝えたいのか」を考えながら読み、「伝えたいことが伝わる仕上がりになっているか?」という点に重きを置くといいます。
また、担当漫画家に
「いつもどんなことを考えているの?」
「好きなものや嫌いなものは何?」
などと質問し、そこから本当に描きたいものに気づけるよう誘導することもあるそうです。
このように、担当漫画家の描きたいものを一緒に探し、描きたいことを描き切れるようにアシストする能力が高いことも、川窪さんが有能と言われる理由でしょう。
川窪慎太郎さんと諫山創先生の関係
『進撃の巨人』の連載を、スタートからゴールまで一貫して支え続けたことでも有名な川窪慎太郎さん。
ここでは『進撃の巨人』の作者・諫山創先生と川窪慎太郎さんの関係性について紹介します。
入社1年目で諌山先生の担当に
川窪慎太郎さんは入社1年目の夏、当時19歳だった諫山先生と出会います。
持ち込まれた読切版『進撃の巨人』を読んだ川窪さんは「絵や話の技術には未熟な部分もあるものの、並々ならぬ思いと才能がある作家だ」と感じたそうです。
以後、川窪慎太郎さんは諌山先生の担当になり、打ち合わせを重ねる日々を送ります。
当時から川窪さんは「進撃の巨人は絶対に売れる」と確信を持っていました。そのため、連載開始前から諌山先生に「初版100万部を目指そう」と言っていたそうです。諌山先生は「初版100万部は難しいのでは…」と驚きを隠せない様子でしたが、川窪慎太郎さんは「いけるから」と励まし続けたと言います。
『進撃の巨人』が大ヒット!
2人の出会いから2年の時を経て『進撃の巨人』の連載がスタート。本作は瞬く間に大人気作品になりましたが、その裏側ではしょっちゅう2人で揉めていたと言います。
連載開始直後だからこそ「わかりやすさ」を追及する川窪慎太郎さんと、「わかりやすい作品」に苦手意識がある為わざとぼかそうとする諌山先生との間でたびたびバトルが勃発し、この時期はお互いに苦しかったそうです。
しかし諌山先生が本当に深刻な悩みに直面した際には、川窪さんは肯定的なアドバイスを送り、常にそっと背中を押していました。
そして連載期間の11年7ヵ月もの間ずっと諌山先生を支え続け、『進撃の巨人』は見事に完結。本作は、完結を迎えた今でも多くのファンから愛される、歴史的ヒット作品になりました。
また、川窪慎太郎さんは諌山先生に次回作を急かす気持ちは全くないと言い「描きたいものが生まれたら教えてください」と伝えるだけにしているそうです。いつか、川窪慎太郎さんと息ピッタリの諌山先生の新作が読めると嬉しいですね!
まとめ
講談社の有能編集者・「バックさん」こと川窪慎太郎さんについて紹介しました。
川窪さんが多くの漫画家から信頼されるのは、あくまで「作家ファースト」の姿勢を崩さず、そっと支えてくれるからではないでしょうか。
またTwitterではたびたび担当作品への愛情を爆発させており、そんな姿が漫画ファンからも愛されています。
徹底して「おもしろい作品」を追求する川窪慎太郎さんだからこそ、担当作品の今後の展開も楽しみです!
ライター:カルコレ編集部 ごとうゆき
<参考>
『進撃の巨人』担当編集者から見た「諫山創」の11年7ヵ月(週刊少年マガジン編集部) | マネー現代 | 講談社
『進撃の巨人』が生まれるまで 編集者川窪慎太郎さんインタビュー - 東大新聞オンライン
『進撃の巨人』担当編集・川窪慎太郎、全世界1億部突破でも抱える“悔しさ”明かす「まだ足りない」 - エキサイトニュース
物語の力を信じている、週刊少年マガジン副編集長・川窪慎太郎氏 | ORICON NEWS
【インタビュー】漫画『ふらいんぐうぃっち』石塚千尋×川窪慎太郎(前編)/ヒット作誕生から振り返る、漫画家と編集者の“いびつ”な信頼関係 - ライブドアニュース
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