漫画アプリ「ジャンプ+(ジャンププラス)」編集長・細野修平(ほその しゅうへい)さんとは? プロフィールや仕事術を解説
細野修平(ほその しゅうへい)さんは、集英社に勤務する漫画編集者です。
週刊少年ジャンプのアプリ「少年ジャンプ+(しょうねんジャンププラス)」の編集長を務め、少年漫画界を牽引する存在である細野修平さんとは、どのような人物なのでしょうか?
この記事では、細野修平さんのプロフィールや担当作品、「少年ジャンプ+」にかける熱い想いなどを紹介します。
細野修平(ほその しゅうへい)さんとは?
まずは、プロフィールと経歴から、細野修平さんの基本情報をチェックしていきましょう。
細野修平さんのプロフィール
- 生年月日:1976年
- 出身地:三重県
- Twitterアカウント:@HosonoShuhei
2023年2月現在、「少年ジャンプ+」の編集長として活躍されている細野修平さん。「少年ジャンプ+」にはアプリ立ち上げ時から携わっており、大人気アプリとなった今なお「デジタルだからこそ見せられる新しい試み」にこだわっています。
細野修平さんの目標は、出版社・読者・漫画家がそれぞれ嬉しい「三方よし」の状態を整えること。その手段として漫画をデジタル化し、今以上にファンが漫画家を応援できる仕組みを作りたいと考えているそうです。
細野修平さんの経歴
細野修平さんは2000年に集英社へ入社し「月刊少年ジャンプ」の編集部に配属されます。しかし2007年「月刊少年ジャンプ」が休刊することになり、後継誌である「ジャンプSQ(スクエア)」の編集部に異動となりました。
その後、2012年から「週刊少年ジャンプ」の編集部に異動となりますが、そこでデジタル担当として少年ジャンプ+の前身となったアプリ「ジャンプLIVE(ジャンプライブ)」を立ち上げます。当時、出版社が運営する漫画アプリ及びサイトは例がなく、ジャンプLIVEはまさに「デジタル漫画アプリ」の先駆け的存在でした。
2014年にはジャンプLIVEをブラッシュアップした「少年ジャンプ+」が創刊され、2017年からは同誌の編集長を務めています。
細野修平さんが担当した代表作品
ここでは、細野修平さんが担当してヒットした作品を簡単に紹介します。
『テガミバチ』
浅田弘幸(あさだ ひろゆき)先生によって、2006年から2015年まで連載された『テガミバチ』。仮想世界の郵便配達員にスポットを当てた、ファンタジー作品です。
ファンタジックな作風ながらもリアルで繊細な心理描写が特徴で、2009年にはテレビアニメ化もされています。
細野修平さんは、立ち上げから本作を支え、2010年まで担当していました。
『終わりのセラフ』
鏡貴也(かがみ たかや)先生、降矢大輔(ふるや だいすけ)先生、山本ヤマト(やまもと ヤマト)先生によって、2012年から2023年2月現在まで連載されている『終わりのセラフ』。
謎のウイルスによって大半の人間が死滅した世界で、残された人間が社会を牛耳る吸血鬼と戦うダーク・ファンタジー作品です。
本作は集英社から漫画が、講談社から小説が出版されており、出版社をまたがったメディアミックスができたのも細野修平さんの人脈があってこそ。
講談社の編集者と細野修平さんは以前から「機会があれば組んでやりたい」と話しており、各先生とのタイミングもちょうど合ったことから企画が進行しました。
『ドラゴンボール外伝 転生したらヤムチャだった件』
鳥山明(とりやま あきら)先生、ドラゴン画廊・リー(ドラゴンがろう・りー)先生によって、2016年から2017年まで連載された『ドラゴンボール外伝 転生したらヤムチャだった件』。
『ドラゴンボール』シリーズの人気キャラクター・ヤムチャを主人公にしたスピンオフ作品で、「少年ジャンプ+」で配信された直後は大きな反響を呼びました。
パロディ作品のため「鳥山先生は嫌がって断るかもしれない」と思いつつ、ダメもとで企画を提案したという細野修平さん。しかし鳥山先生は断るどころか快諾し、さらに「こうした方がいいのでは」とアドバイスまで授けてくれたそうで、細野修平さんは感動したと言います。
細野修平さんの仕事術
前衛的な仕事術で編集長にまで上り詰めた細野修平さん。
ここからは、細野修平さんの仕事術や漫画に対する考え方を紹介していきます。
読み切り作品の評価は重要視しない
「少年ジャンプ+」では読み切り作品も多く掲載され、年間150~170本もの読み切りを配信しています。
しかしそれは、単に読者からの評価やPVが欲しいからではありません。細野修平さんにとって読み切り作品は「漫画家が新しい試みに挑戦できる場所」。
読み切り作品は、良いものが描けなくて行き詰まっている漫画家や、連載を終えて次はどうしようかと悩んでいる漫画家が、現状打破の手段として好きなものを描ける場にしたいと考えています。
そのため、細野修平さんは読み切り作品を漫画家に依頼する際「評価や連載のことを意識せず、好きなものを描いてください」と伝えるそうです。
また、編集者があれこれ指示を出すよりも漫画家に好きに描いてもらったほうが熱量や気持ちが込められ、結果的に読者からも評価されやすいと言います。
儲からなくても作家のためならトライ
読み切り作品に力を入れ続ける「少年ジャンプ+」ですが、実は細野修平さん曰く「読み切り作品は出版社にとってあまり儲かるものではない」そう。
読み切り作品の原稿料は新人作家さんの場合1ページあたり9,000円で、150本以上も作品展開するためには年間で4,000万円以上ものコストがかかります。
さらに読み切り作品はコミックス化や話単位での販売も難しいため、赤字になりやすいという大きなデメリットがあるのです。
しかし細野修平さんは
「漫画家には成長する場が必要」
「すぐにはお金にならなくても、漫画家が成長すれば成功する」
と考え、少年ジャンプ+に読み切り作品を掲載し続けました。
結果、アプリリリース直後は新人だった漫画家がメキメキ成長し、少年ジャンプ+は人気作家を多数抱えるアプリに!
現在「少年ジャンプ+」が多くの読者から支持されているのは「いい漫画家をたくさん育てて面白い漫画を届けたい」という細野修平さんの強い想いがあったからこそと言えます。
大胆な取り組みに踏み切る勇気を持つ
細野修平さんは、仕事においては非常に挑戦的で失敗を恐れず、大胆な取り組みにも果敢に挑むのが特徴。
その最たる例が「少年ジャンプ+」の全話無料です。
「少年ジャンプ+」ではオリジナル連載作品は1回に限り全話無料で読める仕様になっていますが、一般的な他社の漫画アプリでは「冒頭の数話や最新話のみ無料」となっていることが大半。
しかし細野修平さんは
「全話無料にして作品を愛してくれるファンを1人でも多く獲得できれば、利益は後からついてくる」
と信じ、前例のない全話無料に踏み切りました。
結果、この施策は大成功を収め、読者のコミックス購入のモチベーションに!
「少年ジャンプ+」は「いつでも全話無料で漫画が楽しめるアプリ」と読者からの信頼が集まり、アクティブユーザーも増えました。
細野修平さんが「少年ジャンプ+」にかける想い
集英社の中でも珍しい「漫画アプリの編集長」というポジションに就いている細野修平さん。
ここでは、細野修平さんが「少年ジャンプ+」にかける強い想いについて紹介します。
3つの目標
「少年ジャンプ+」では、3つの大きな目標を掲げています。
1つ目が「紙とデジタルの垣根をなくし才能を育てること」、
2つ目が「デジタルから話題作を出すこと」、
3つ目が「デジタルで展開してきた作品が、紙など他のメディアに波及してヒットすること」
です。
これらの目標を達成するため、細野修平さんは新人作家の育成や新たな施策に力を入れ続けています。
たとえば、掲載作品数に制限がない「少年ジャンプ+」だからこそ、いいと思った新人漫画家の作品はすぐに掲載。SNSなどを通じて読者からの反応をスピーディーに得て、漫画家の成長に繋げているのです。
さらに少年ジャンプ+に
「雑誌の電子版」
「電子コミックが読めるアプリ」
「新人発掘の場」
といくつもの顔を作ることで、あらゆる層の読者に支持される仕組みを作りました。
近年は『SPY×FAMILY(スパイファミリー)』や『チェンソーマン』など「少年ジャンプ+」の作品が次々ヒットしていますが、その裏には細野修平さんをはじめとする編集者たちの努力があるのです。
デジタルならではの作品展開
細野修平さん曰く、「週刊少年ジャンプ」の漫画家にはどこか「しっかり少年漫画を描かないと」という気負いがあるそう。ですが、少年ジャンプ+にはそのような気負いは必要ないと語っています。
かわりに「デジタル漫画を好むファンに届く作品」を意識するようお願いしており、デジタルならではの作品展開に力を注いでいるのです。
たとえば「少年ジャンプ+」では、一般のジャンプ誌では掲載できないような、グロテスクな表現や超展開なども掲載OK。過去には、近未来エロティックサスペンス『終末のハーレム』の過激な内容の一部に制限が入ったこともありましたが、細野修平さんは制限されることを恐れません。
デジタル漫画は、必要に応じてすぐにページを差し替えたり、モザイク処理して更新したりできるところも強みです。そのため細野修平さんは「制限をかけられたらそのとき対処を考える」というスタイルで、初手では強気の姿勢を取っています。
最終的には「週刊少年ジャンプ超え」
細野修平さんは「ライバルは週刊少年ジャンプです」と断言しており、「少年ジャンプ+のオリジナル作品で大ヒットを出して、週刊少年ジャンプを超える」ことを最終ゴールとしています。
しかし、少年ジャンプ+は「いかにも週刊少年ジャンプっぽい作品は載せない」ことがポリシーのため、あくまでも少年ジャンプ+らしい作品で勝負したいそうです。
そもそも、少年漫画らしさ全開の作品を「少年ジャンプ+」に掲載しても、読者は「なぜこれをジャンプ+に?」と疑問を抱くため、素直に作品を楽しめません。
また、このような作品の大半は結局、漫画家が「ジャンプらしさ」を意識して寄せて描いているため、作家の熱意や個性が薄く読者人気は得られないといいます。
少年ジャンプ+らしい「斬新さ」を大切にしつつ『ONE PIECE』と『鬼滅の刃』を超える漫画を世に送り出すことが、細野修平さんの目標です。
まとめ
集英社の編集者で「少年ジャンプ+」の編集長として活躍している細野修平さんについて紹介しました。
挑戦的な試みで読者を飽きさせない細野修平さんは、多くの漫画ファンから信頼され愛されています。
細野修平さんは「少年ジャンプ+はこれからさらに進化する」とも語っており、今後のアプリ展開も楽しみです!
ライター:カルコレ編集部 ごとうゆき
<参考>
無料で連載マンガが読みまくれる「少年ジャンプ+」を作ったジャンプ編集部に突撃インタビューしてきた - GIGAZINE
少年ジャンプ副編集長に聞く「漫画アプリ」の手ごたえ--デジタル作家の仕事場にも潜入
億ヒット連発しなければ、業界として失敗『少年ジャンプ+』編集長のマンガ論 -Appliv TOPICS
少年ジャンプルーキー3周年記念!!「少年ジャンプ」×「ジャンプ+」編集長対談!! - ジャンプルーキー!
「少年ジャンプ」がヒット予測に挑む理由 売れ行きは「3話まで」で推計可能 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)
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